家づくりやリノベーション、あるいは家具選びの際に、「無垢材」に注目する人が増えています。しかし、「無垢材」と一口にいっても、その種類や特徴は非常に多岐にわたります。広葉樹や針葉樹といった基本的な分類から、それぞれの木が持つ個性、そして選ぶ際に気を付けたいポイントまで、知識がなければ適切な判断が難しい素材でもあります。本記事では、無垢材の代表的な種類や特徴を丁寧に解説し、さらに選ぶ際のメリット・デメリットや選定のコツまでを網羅的にお届けします。無垢材を通して「木のある暮らし」をもっと身近に、もっと快適にしてみませんか?
無垢材の種類の基礎を理解しよう
無垢材とは何か。その本質を理解することは、木材選びの第一歩です。私たちが「木のぬくもり」や「自然素材の良さ」と聞いて思い浮かべる木材の多くは、無垢材に該当します。無垢材とは、1本の木から切り出された自然そのままの木材であり、接着剤や化学処理をほとんど施していないことが大きな特徴です。自然由来の質感と香りが魅力で、時間とともに色合いや風合いが変化する「経年美」を楽しむことができます。
さらに、無垢材は吸放湿性が高く、室内環境を快適に保つ力も持っています。夏は湿気を吸い取り、冬は乾燥を防ぐ。この自然の力が、暮らしにやさしい空間をもたらすのです。しかし、その一方で、伸縮や反りが起こりやすいといった特徴もあり、使い方や施工方法に注意が必要です。
このセクションでは、無垢材の「基礎知識」として、まずその定義と特徴を明らかにした上で、次で紹介するように、「広葉樹」と「針葉樹」という大きな分類に分かれる種類についても解説します。それぞれの木材が持つ性質を知ることで、住まいづくりやインテリアに最適な素材を見極める力が養われるはずです。
無垢材として使用される木材の種類は大きく分けて2つ
無垢材の種類は大別すると「広葉樹」と「針葉樹」に分けられます。この分類は、木そのものの成長の仕方や硬さ、木目の出方などに基づいており、それぞれに明確な違いがあります。
広葉樹は、1年で何枚もの葉をつける落葉性の木が多く、密度が高くて硬いのが特徴です。オークやウォールナット、メープルなどが代表例で、重厚感のある家具や床材として用いられることが多いです。広葉樹の無垢材は木目が細かく、耐久性に優れるため、傷や摩耗に強く、長く使いたい場面に最適です。
一方、針葉樹は一年中葉を保つ常緑樹が多く、構造が比較的シンプルなため、木材自体が軽く柔らかいのが特徴です。スギやヒノキ、パインなどが代表例です。これらは加工がしやすく、柔らかいために肌触りも優しく、足への負担が少ないため、床材としても人気があります。また、独特の香りを持つ木も多く、リラックス効果も期待できます。
どちらを選ぶかは、使用する場所や目的、ライフスタイルによって異なります。たとえば、小さなお子さんがいる家庭では、転んでもケガをしにくい針葉樹の柔らかさが喜ばれます。一方で、傷つきにくく長持ちする床を望む場合には広葉樹が適しています。
無垢材の種類に応じて適切な選択をすることで、暮らしの質をより高めることが可能です。木材一つひとつの個性を知ることで、自分たちの理想とする空間をより現実的に、そして魅力的に形づくっていくことができるでしょう。
無垢材の種類の中でも人気の広葉樹4選を紹介
無垢材の中でも、広葉樹はその美しさと耐久性の高さから非常に人気があります。フローリングや家具など、長く愛用するインテリアにはぴったりの素材です。広葉樹は木目が美しく、木の密度が高いため、重厚感があり高級感のある空間づくりに適しています。このセクションでは、代表的な広葉樹4種について、それぞれの特徴や魅力を詳しく紹介していきます。種類ごとの個性を知ることで、空間に最も合った無垢材を選ぶ手助けになるはずです。
オーク(ナラ)
オークは、最もポピュラーな広葉樹のひとつで、強度と耐久性に非常に優れています。その重厚な木目は存在感がありながらも落ち着きがあり、どのようなインテリアスタイルにも馴染みやすいのが特徴です。湿度変化にも比較的強く、経年変化によって味わいが深まるため、長く使えば使うほど魅力が増していきます。また、床材として使用した場合でも、足音を吸収してくれるなどの実用的なメリットもあります。木の質感や性能のバランスに優れているため、初めて無垢材を選ぶ人にもおすすめできる万能型の素材です。
メープル
メープルは、その明るい色合いと繊細な木目が魅力の広葉樹です。ナチュラルテイストの空間や北欧風インテリアとの相性が抜群で、空間を広く、清潔感ある雰囲気に仕上げてくれます。また、表面が硬くて滑らかであることから、傷がつきにくく、小さな子どもがいる家庭でも安心して使用できます。光を反射しやすい性質も持っており、部屋全体を明るく見せたいというニーズにも応えてくれます。上品で洗練された空間を演出したい人にぴったりの木材です。
ウォールナット
ウォールナットは、高級感を求めるユーザーに人気のある素材です。深みのあるダークブラウンの色味と、美しい波打つような木目模様が特徴で、空間全体を引き締める効果があります。モダンでシックなインテリアを目指す方には理想的です。また、適度な硬さがありながらも加工性に優れているため、オーダーメイド家具や一点物の作品などにも多く用いられています。使い込むほどに艶が増し、まるで革製品のように“育てる楽しみ”を感じられるのもウォールナットの魅力です。
チーク
チークは、耐久性と耐水性に非常に優れた広葉樹で、世界中で高級材として知られています。油分を多く含むことから、水回りや屋外でも使用できるほどの耐性があり、東南アジアでは古くから高級家具や船材として利用されてきました。独特の滑らかな触り心地と黄金色の光沢があり、時間とともに赤みを帯びた深い色合いに変化するのも楽しみの一つです。価格は高めですが、その分、長期間にわたって美しさと機能を保ち続ける資産価値のある無垢材といえるでしょう。
無垢材の種類の中で柔らかく温かみのある針葉樹3選
無垢材の中でも、針葉樹はその柔らかさと軽やかな雰囲気で、暮らしにぬくもりと優しさを与えてくれます。柔らかい肌触りやナチュラルな木目が特徴で、床材や壁材として人気の素材です。また、広葉樹と比べて加工がしやすく、施工の自由度が高いのも魅力のひとつです。このセクションでは、代表的な針葉樹である「スギ」「ヒノキ」「パイン」の3種を取り上げ、それぞれの特性や使い方について詳しく見ていきます。
スギ
スギは日本を代表する針葉樹で、古くから建築材や家具材として幅広く使われてきました。軽くて柔らかく、加工性に優れているため、DIYからプロの施工まで幅広く対応できる素材です。見た目にも優しく、淡い赤身と白太のグラデーションが美しく、空間全体に柔らかな印象を与えます。また、スギ特有の香りにはリラックス効果があるとされ、住まいに癒しをもたらしてくれる点も魅力です。
ただし、柔らかい素材であるがゆえに傷がつきやすく、メンテナンスが必要になる場面も少なくありません。しかし、それは裏を返せば「使い込む楽しさ」ともいえます。年月とともに木の色合いが深まり、暮らしの中で味わいを増していく様子を感じられるのが、スギの無垢材ならではの醍醐味です。
ヒノキ
ヒノキはその芳香と美しさ、そして優れた耐久性から、高級木材として多くの支持を集めています。日本の神社仏閣や伝統建築でも使われることが多く、清潔感のある白っぽい木肌と、まっすぐで整った木目が特徴です。見た目の上品さだけでなく、防虫効果や抗菌作用を持つ点も評価されています。
ヒノキの香りには精神を安定させる成分が含まれており、アロマテラピー効果もあることから、寝室やリビングなど、リラックスしたい空間への導入にも適しています。耐水性にも優れているため、水回りの素材としても活用されています。高価な材ではありますが、長期的に見れば、快適な住環境を実現するための非常に優れた選択肢といえるでしょう。
パイン
パインは北欧やアメリカなどで多く使用されている針葉樹で、明るく柔らかな印象のある木材です。やや黄みを帯びたナチュラルな色合いと、節が多く個性的な木目が特徴で、カジュアルで温もりのある空間づくりにぴったりです。特に、子育て世代の家庭に人気があり、その柔らかさから転倒時の衝撃を吸収しやすく、小さなお子さんにも優しい素材です。
価格も比較的手頃で入手しやすく、DIY用材やカントリースタイルの家具などにも多用されています。一方で、傷やへこみがつきやすいというデメリットもありますが、それも味として受け入れられる温かみのある表情に変わっていく点が魅力です。経年変化によって深まる色味は、年月をかけて育てていく素材として多くの人々に愛されています。
有限会社ひかり不動産は、夢ハウスビジネスパートナーです。
『木のひらや』をはじめ『自由設計』『郷の家』『tsumiki』『リセット住宅』を取り扱っています。
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無垢材の種類を選ぶときに押さえておきたい4つのポイント
無垢材は見た目だけでなく、機能性やライフスタイルとの相性も含めて選ぶ必要があります。素材そのものの魅力を最大限に引き出すには、選定段階からの注意が重要です。このセクションでは、無垢材を選ぶ際に特に意識しておきたい4つのポイントを解説します。実用性と感性の両面から考えることで、理想的な住空間づくりに一歩近づけるでしょう。
空間との相性を考えて種類や色味を決める
無垢材は種類によって色合いや木目が大きく異なります。オークのように落ち着いたトーンの材を選べば、重厚で落ち着いた空間に。一方、メープルやパインのような明るい色合いを使えば、開放感と清潔感のある印象になります。色味や質感は照明や壁材との相性によっても変わるため、単体で見るのではなく、空間全体の調和を意識して選びましょう。
また、同じ木材でも節の有無やグレードによって印象は大きく変化します。ナチュラルな雰囲気を求めるなら節ありを、シンプルで整った空間には節なしが好まれる傾向があります。空間のイメージを明確に持つことが、最適な無垢材選びの第一歩となります。
大まかな予算を立てる
無垢材の種類によって価格には大きな差があります。ウォールナットやチークなどの高級材は美しさや耐久性に優れている反面、予算に大きな影響を与えることもあります。そのため、全体の施工費を見据えたうえで、「どこにどの材を使うか」を明確にすることが大切です。
たとえば、リビングなど人目に触れる場所には高級材を使い、クローゼットの内部や裏面にはリーズナブルな素材を使うなど、部分的に使い分けることでコストを抑えつつ満足度の高い空間を実現できます。予算配分を工夫すれば、限られた中でも無垢材の魅力を取り入れることが可能です。
施工事例や実物をよく確認する
カタログやウェブサイトの画像だけでは、無垢材の本当の質感や色味は分かりにくいものです。可能であればショールームや施工現場を訪れ、実際の空間で使用された無垢材を見て触れてみましょう。特に経年変化の状態を確認できる施工例は非常に参考になります。
また、写真では気づきにくい細部の仕上げや木の触感、香りなど、五感を通じて判断することが重要です。施工事例を確認することで、自分が目指す空間とのギャップを防ぎ、納得のいく素材選びにつながります。
床材の長さや張り方・塗装方法にこだわる
無垢材は同じ種類でも、張り方や仕上げ方法によって空間の印象が大きく変わります。たとえば、幅広の一枚板で張れば高級感が出ますし、乱尺張りであればカジュアルで遊び心のある雰囲気を演出できます。また、ヘリンボーン張りなどの特殊な張り方を選ぶと、空間にアクセントを加えることができます。
塗装方法も重要です。無塗装で自然のままを楽しむか、オイル仕上げで木の質感を活かすか、ウレタン塗装でメンテナンス性を重視するか。ライフスタイルや好みによって適した仕上げ方法は異なります。長く付き合う床材だからこそ、ディテールまでこだわることで、日々の満足度が格段に上がるのです。
無垢材の種類を選ぶメリットとは?自然素材ならではの魅力
無垢材が選ばれ続ける理由は、単なる見た目の美しさにとどまりません。自然素材ならではの優しさ、風合い、そして長く使うことで生まれる経年変化の味わいなど、さまざまな魅力が詰まっています。ここでは、無垢材の持つ代表的なメリットを3つ取り上げ、それぞれの具体的な価値について詳しくご紹介します。
天然木の風合いや香りを楽しめる
無垢材の最大の魅力のひとつが、人工的な加工をほとんど施していない「木そのものの質感と香り」です。木材によって色合いや木目、手触りは大きく異なり、同じ種類でも1本ごとに個性があります。その自然の美しさは、プリントやシート材では再現できない唯一無二の価値を持ち、住まいに自然の温もりをもたらします。
さらに、ヒノキやスギなどには特有の芳香成分が含まれており、心を落ち着ける効果や空気を浄化する働きがあるとも言われています。こうした自然由来の効果は、住む人の心と体にやさしく寄り添い、空間全体を癒しの場所に変えてくれるでしょう。
足への負担が少なく、疲れにくいと感じやすい
無垢材のフローリングを歩いたとき、その柔らかな踏み心地に驚く方も多いのではないでしょうか。特に針葉樹の無垢材は、適度な弾力を持ち、足裏への衝撃を吸収してくれるため、長時間歩いたり立っていても疲れにくいというメリットがあります。
冷たさを感じにくく、素足でも心地よく過ごせるため、家の中を裸足で歩くのが好きな方や、幼い子どもがいる家庭にも最適です。断熱性にも優れており、冬場でも床が冷たくなりにくいため、快適な生活環境を維持しやすいのも大きな利点です。
1枚1枚異なる木の温もりが感じられる
無垢材は、1枚1枚が自然の中で育った木の一部であるため、すべてが異なる表情を持っています。木目の出方、色味、節の位置など、同じ種類でも個体差があり、それらが組み合わさって空間に豊かな表情と深みを生み出します。
この「不揃いさ」こそが、無垢材の大きな魅力です。工業製品のように均一で整った見た目ではなく、自然のままの不規則な美しさが、空間に個性と温かみを与えてくれます。また、使い込むことで生まれる傷や変色も「味わい」として感じられ、自分だけの特別な空間をつくる楽しさを味わえるのです。
無垢材の種類を選ぶデメリットも事前に把握しよう
無垢材は魅力的な素材である一方で、使い方を誤るとトラブルや後悔を招くこともあります。だからこそ、購入や施工の前に「どのような弱点があるのか」「どのような対処が必要か」を知っておくことが非常に大切です。このセクションでは、無垢材を選ぶうえで注意しておきたい主な3つのデメリットについて詳しくご紹介します。
経年変化で変色・日焼け・傷が生じやすい
無垢材は自然素材であるがゆえに、時間の経過や環境の変化に敏感に反応します。日光の当たる場所では色が薄くなったり濃くなったりし、湿度の影響で反りや割れが起きることもあります。さらに、硬いものでぶつけたり、鋭利なもので擦れたりすると、すぐに傷がついてしまうことも少なくありません。
しかしこれは裏を返せば、「木が呼吸している証拠」であり、人工素材では得られない自然のダイナミズムとも言えます。変化を劣化ととらえるのではなく、「味わい」として楽しめるかどうかが、無垢材との付き合い方の鍵になります。定期的なメンテナンスや保護材の塗布によって、これらの変化を最小限に抑える工夫も可能です。
メンテナンスの手間がかかる
無垢材は、定期的なメンテナンスが必要な素材です。ほこりや砂が傷の原因になるため、こまめな掃除が求められますし、無塗装またはオイル仕上げの床であれば、数年に一度の再塗装も検討しなければなりません。汚れが染み込みやすいため、飲み物をこぼしたときなどには早急な対処が必要です。
このような手間を面倒に感じる方にとっては、無垢材はやや扱いづらい存在かもしれません。しかし、その分だけ手をかけた分だけ素材が応えてくれるという楽しさもあります。手間を「愛着」に変える心持ちがあれば、無垢材はより魅力的な存在になります。
価格が高くなりやすい
無垢材はその製造過程において大量生産ができず、木材の質にもばらつきがあるため、集成材や突板に比べて価格が高くなる傾向があります。さらに、樹種やグレードによっては価格差も大きく、たとえば同じ広葉樹でもウォールナットとオークでは倍以上の差が出ることもあります。
初期費用の面では確かに負担になりますが、その分、耐久性が高く、長く使えることを考えると、長期的なコストパフォーマンスは決して悪くありません。短期的な費用だけで判断せず、「10年後、20年後にも満足できるか」を見据えた選択が重要です。


投稿者プロフィール

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有限会社ひかり不動産 代表取締役
宅地建物取引士 二級建築士
埼玉県美里町に生まれ育ち
1987年~1990年:住宅建築・不動産会社勤務
1990年~:有限会社ひかり不動産
2000年~現在:有限会社ひかり不動産 代表取締役
不動産・住宅建築業界一筋で業界歴35年超のベテラン
長年の経験と今まで培ってきた事 そして、こだわりのある
「自然素材の家づくり」について皆様にお伝えします
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