住宅ローンを利用してマイホームを購入するとき、多くの人が活用するのが 「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」 です。この制度を利用すれば、毎年の所得税や住民税の負担を軽減することができ、最大13年間にわたって節税効果を得ることができます。しかし、住宅ローン控除には適用条件や申請手続きがあり、制度を正しく理解していないと控除を受けられない可能性もあります。
特に、2024年の改正 では、省エネ基準を満たさない住宅が控除の対象外になるなど、大きな変更点があるため、最新の情報を押さえておくことが重要です。また、住宅の種類(新築・中古・リフォーム)や借入金額によっても控除額が異なるため、事前にシミュレーションを行い、最適な活用方法を検討することが求められます。 本記事では、住宅ローン控除の基本的な仕組みから、2024年の改正ポイント、適用条件、控除額の計算方法、手続きの流れまで詳しく解説します。住宅購入を検討している方や、すでに住宅ローンを利用している方は、ぜひ参考にしてください。
1. 住宅ローン控除とは?基本の仕組みをわかりやすく解説
住宅を購入する際、多くの人が住宅ローンを利用します。しかし、住宅ローンの返済には利息がかかり、長期的に見ると大きな負担になります。そこで、政府が住宅購入を支援するために設けた制度が「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」です。
この制度を活用することで、住宅ローンの残高に応じた金額を所得税や住民税から控除できる ため、毎年の税負担が軽減されます。ただし、住宅ローン控除を受けるためには、適用条件を満たす必要があり、また2024年から一部制度が変更されています。
本章では、住宅ローン控除の基本的な仕組みや目的、控除額の計算方法について詳しく解説します。
1-1. 住宅ローン控除の目的と仕組み
住宅ローン控除は、住宅購入者の税負担を軽減し、住宅取得を促進することを目的とした制度 です。一定期間、住宅ローン残高の一部が所得税や住民税から控除されるため、住宅購入時の資金計画に大きな影響を与えます。
住宅の購入は人生で最も大きな買い物の一つですが、高額な住宅ローンを組むと、長期的な支払い負担が大きくなります。そこで、国は住宅購入を支援するために、住宅ローンの残高に応じて税金を軽減する制度 を導入しました。
この制度を利用すると、住宅ローンを組んでいる期間中、最大13年間にわたって所得税や住民税の一部が戻ってくる ため、実質的な住宅購入費用を抑えることができます。
例えば、住宅ローン残高が3,000万円で、控除率が0.7%の場合、年間で最大21万円(3,000万円 × 0.7%)の税金が戻ってくる ことになります。これが10年間続くと、合計で210万円の税負担が軽減 される計算になります。
また、控除額が所得税を超える場合は、住民税からも一部控除 される仕組みになっているため、会社員や自営業者にとって非常にメリットの大きい制度です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用する人にとって、大幅な節税効果をもたらす制度 です。制度の仕組みを理解し、適用条件を確認した上で、最大限活用することが重要です。
1-2. 住宅ローン控除の適用期間と控除額の計算方法
住宅ローン控除の適用期間は最長13年 で、控除額は住宅ローン残高の0.7%(2024年現在) が上限となります。控除額の計算方法を理解しておくことで、どの程度の減税が受けられるか事前に把握できます。
住宅ローン控除の控除額は、住宅の種類や入居時期、住宅ローン残高によって異なります。2024年以降は、省エネ性能の高い住宅が優遇される一方、省エネ基準を満たさない住宅は控除の対象外となるため、住宅選びの際には注意が必要です。
また、住宅ローン控除の控除期間は、基本的に10年間 ですが、一定の要件を満たせば最大13年間 の控除を受けることができます。
新築住宅(長期優良住宅)の場合
借入限度額:5,000万円
控除率:0.7%
年間最大控除額:35万円(5,000万円 × 0.7%)
控除期間:最大13年間
ZEH水準省エネ住宅の場合
借入限度額:4,500万円
控除率:0.7%
年間最大控除額:31.5万円(4,500万円 × 0.7%)
控除期間:最大13年間
一般的な新築住宅(省エネ基準適合)
借入限度額:3,000万円
控除率:0.7%
年間最大控除額:21万円(3,000万円 × 0.7%)
控除期間:最大13年間
中古住宅・リフォームの場合
借入限度額:2,000万円
控除率:0.7%
年間最大控除額:14万円(2,000万円 × 0.7%)
控除期間:最大10年間
例えば、4,000万円の住宅ローンを組み、省エネ基準適合住宅を購入した場合の計算をしてみましょう。
住宅ローン残高(初年度):4,000万円
控除率:0.7%
年間控除額:28万円(4,000万円 × 0.7%)
控除期間:10年間(要件を満たせば13年間)
総控除額(10年間):最大280万円(28万円 × 10年)
このように、住宅ローンの残高が高いほど、控除額も増える 仕組みになっています。
- 省エネ基準を満たす住宅を選ぶことで、最大の控除額を得られる
- 控除期間をフルに活用するために、長期的なローン計画を立てる
- 住宅ローン控除を適用できる金融機関のローンを選ぶ
住宅ローン控除は、住宅ローン残高の0.7%が毎年所得税から控除される制度 です。最大13年間適用されるため、購入前に控除額をシミュレーションし、税負担を最小限に抑える計画を立てることが重要 です。
2. 2024年住宅ローン控除の改正ポイントをチェック!
住宅ローン控除は、住宅購入者の税負担を軽減する重要な制度ですが、2024年からいくつかの改正が行われました。これまでの制度と比較して、「省エネ基準を満たす住宅が優遇される」 ことや 「借入限度額が一部引き下げられる」 などの変更があり、これから住宅を購入する人にとって影響の大きい内容となっています。
本章では、2024年の住宅ローン控除の主な改正ポイントについて詳しく解説し、どのような影響があるのか、どのように対策をすればよいのかを説明します。
2-1. 省エネ基準を満たさない住宅は原則適用外に
2024年からの住宅ローン控除では、省エネ基準を満たさない新築住宅は控除対象外 となりました。環境負荷の少ない住宅の普及を促進するため、政府はエネルギー効率の高い住宅を優遇する方針を打ち出しています。
これまでの住宅ローン控除では、省エネ性能に関係なく新築住宅であれば一定の控除を受けることができました。しかし、温室効果ガスの削減やエネルギー効率の向上を目的として、省エネ基準を満たさない住宅の新規取得者には控除を適用しない方針 に変更されました。
2024年以降、住宅ローン控除を受けるためには、以下のいずれかの基準を満たす必要があります。
1. ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)水準省エネ住宅
- 高い断熱性能や太陽光発電の導入などで、エネルギー消費を大幅に抑えた住宅
- 借入限度額:4,500万円
2. 省エネ基準適合住宅(断熱性や気密性が基準を満たしている住宅)
- 一般的な省エネ基準をクリアした住宅
- 借入限度額:3,000万円
3. 長期優良住宅(耐久性や環境負荷の低減を考慮した住宅)
- 高性能な住宅で、補助金制度も利用可能
- 借入限度額:5,000万円
これらの基準を満たさない新築住宅(たとえば、断熱性が低く、省エネ性能が証明されていない住宅)には、住宅ローン控除が適用されません。
住宅ローン控除を最大限活用するためには、購入前に以下の点を確認しましょう。
✔ 省エネ基準を満たしているか不動産会社に確認する
✔ 「住宅省エネルギー性能証明書」を取得できるかを確認する
✔ 可能であればZEH水準の住宅を選ぶことで、借入限度額を増やせる
2024年以降、新築住宅を購入する場合は、省エネ基準を満たすことが必須 です。事前に住宅の仕様を確認し、長期的な視点でエネルギー効率の高い住宅を選ぶことが、節税対策としても有効です。
2-2. 新築住宅の床面積要件の緩和措置が延長
住宅ローン控除の適用には「床面積50㎡以上」が基本条件でしたが、2024年も引き続き 「40㎡以上」 の住宅にも適用されることになりました(ただし、所得1,000万円以下の人に限る)。
近年、都市部ではコンパクトな住宅やマンションの需要が増加しており、「50㎡未満の住宅でも控除を適用してほしい」という声が多く寄せられていました。政府はこのニーズに応えるため、2024年も 「床面積40㎡以上50㎡未満の住宅」に対して住宅ローン控除の適用を継続 することを決定しました。
- 年収1,000万円以下の人が40㎡以上の住宅を購入する場合 → 住宅ローン控除の適用が可能
- 年収1,000万円超の人が40㎡以上50㎡未満の住宅を購入する場合 → 住宅ローン控除は適用不可
- 50㎡以上の住宅の場合(年収2,000万円以下) → 従来どおり控除が適用
✔ コンパクトマンションや都市型住宅の購入予定者は、年収条件を事前に確認する
✔ 床面積40㎡以上50㎡未満の住宅を検討する際は、適用条件を満たすか要確認
2024年も引き続き、床面積40㎡以上の住宅に住宅ローン控除が適用 されることになりました。都市部での住宅購入を検討している方は、この緩和措置を上手に活用しましょう。
2-3. 子育て世帯・若者夫婦世帯向けの特例措置
子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、借入限度額の縮小が見送りとなり、引き続き優遇措置が受けられる ことになりました。
若年層の住宅購入を支援するため、2023年まで適用されていた特例措置が、2024年も継続されることが決まりました。特に、「子育て世帯(18歳未満の子供がいる家庭)」 と 「若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)」 は、住宅ローン控除の優遇措置を受けることができます。
- 子育て世帯・若者夫婦世帯が新築住宅を購入する場合 → 借入限度額が「省エネ基準適合住宅:3,000万円」ではなく、「4,500万円」まで適用される
- 一般世帯の場合 → 省エネ基準適合住宅の借入限度額は3,000万円
✔ 40歳未満または子育て世帯に該当する場合は、特例措置を活用する
✔ 通常の住宅ローン控除よりも高い借入限度額を活用できるため、より良い物件を検討する
子育て世帯・若者夫婦世帯にとって、2024年も引き続き住宅ローン控除の優遇措置が適用されます。住宅購入を検討している方は、この制度を活用して、より有利な条件でマイホームを手に入れましょう。
3. 住宅ローン控除の適用条件|どんな住宅・ローンが対象?
住宅ローン控除を利用するためには、一定の条件を満たす必要があります。すべての住宅が対象となるわけではなく、「新築住宅」「中古住宅」「リフォーム住宅」などの種類ごとに細かい適用条件が設定されている」 ため、事前にしっかりと確認することが重要です。
また、2024年の改正では、省エネ性能が住宅ローン控除の適用条件として厳しくなったため、控除を受けるためには住宅の性能基準を満たすことが求められます。これから住宅を購入・リフォームする方は、自分の住宅が適用条件を満たしているかを確認し、適切に申請できるよう準備しましょう。
本章では、新築住宅・中古住宅・リフォーム住宅それぞれの適用条件について詳しく解説します。
3-1. 新築住宅の適用条件
新築住宅の場合、省エネ基準を満たすことが必須条件となり、住宅ローンの借入期間や床面積要件なども細かく定められています。
2024年以降の住宅ローン控除は、省エネ性能が重視されるようになり、基準を満たさない住宅は適用外となりました。そのため、新築住宅の購入を検討している人は、ZEH水準省エネ住宅や長期優良住宅などの認定を受けた物件を選ぶことが重要 です。
新築住宅の住宅ローン控除を受けるための主な条件は以下のとおりです。
- 省エネ基準適合住宅であること(ZEH水準、省エネ基準適合住宅、長期優良住宅など)
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 登記簿上の床面積が50㎡以上(40㎡以上でも年収1,000万円以下なら適用可能)
- 取得後6か月以内に住み始め、引き続き居住すること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
✔ 省エネ性能を満たす住宅を選び、証明書類を確実に取得する
✔ 住宅ローンの返済期間を10年以上に設定し、短期間のローンを避ける
✔ 登記簿上の床面積を確認し、適用要件を満たしているかチェックする
新築住宅の場合、省エネ基準を満たすことが必須条件 です。購入前に住宅の性能基準を確認し、住宅ローン控除の適用を受けられるよう準備しましょう。
3-2. 中古住宅の適用条件
中古住宅の場合、築年数や耐震基準を満たしているかが重要なポイントになります。特に、1982年(昭和57年)以前の建物は、耐震基準を満たしていることが証明されないと適用外 になるため注意が必要です。
中古住宅の購入時には、新築と異なり、すでに建設されている物件のため、耐震性や構造の状態によって適用可否が変わります。特に古い建物は、耐震改修がされていないと控除が適用されないケースがあるため、事前に確認が必要です。
中古住宅の住宅ローン控除の適用条件は以下のとおりです。
- 耐震基準を満たしていること(1981年6月以降に建築されたもの、または耐震改修済みであること)
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 登記簿上の床面積が50㎡以上であること(40㎡以上でも年収1,000万円以下なら適用可能)
- 取得後6か月以内に住み始め、引き続き居住すること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
✔ 耐震基準を満たしているかを確認し、必要なら耐震改修を行う
✔ 築年数や構造を確認し、事前に不動産会社と相談する
✔ 床面積や住宅ローンの返済条件をチェックし、適用要件を満たしているか確認する
中古住宅の場合、耐震基準の適用条件が厳しいため、築年数や耐震改修の有無を事前にチェック することが重要です。
3-3. リフォームや増改築の適用条件
住宅ローン控除は、リフォームや増改築にも適用されますが、工事費用や住宅の種類によって適用条件が異なる ため注意が必要です。
リフォームや増改築を行う場合、一定の要件を満たせば住宅ローン控除が適用されますが、新築や中古住宅と比較すると適用条件が細かく分かれています。特に、耐震改修やバリアフリー改修、省エネ改修などの特定リフォームは優遇措置が適用される ため、活用するとお得です。
リフォームや増改築における住宅ローン控除の適用条件は以下のとおりです。
- リフォーム後の住宅が登記簿上で50㎡以上(40㎡以上でも年収1,000万円以下なら適用可)
- リフォームにかかった費用が100万円以上であること
- 耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修など特定のリフォームであること
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
✔ リフォーム計画時に適用条件を満たすかを確認する
✔ 省エネ改修や耐震改修など、優遇措置のあるリフォームを選ぶ
✔ 工事費用の合計が100万円以上になるよう調整する
リフォームや増改築の住宅ローン控除を受けるには、特定のリフォーム工事を行うことや、工事費用の要件を満たすことが重要 です。
3-4. 住宅ローン控除の適用条件を満たすためのチェックポイント
住宅ローン控除を確実に適用させるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
✔ 住宅の種類ごとの適用条件を事前に確認する
✔ 新築住宅は省エネ基準を満たすことが必須
✔ 中古住宅は耐震基準を満たしているか確認
✔ リフォームの場合は工事費用が100万円以上必要
住宅ローン控除を最大限活用し、賢く節税しましょう。

4. 住宅ローン控除でいくら戻ってくる?計算方法とシミュレーション
住宅ローン控除は、住宅を購入した人の税負担を軽減する非常に有利な制度ですが、実際に「どのくらいの金額が戻ってくるのか?」を具体的に把握している人は意外と少ないかもしれません。
住宅ローン控除の控除額は 「住宅ローン残高 × 控除率」 というシンプルな計算式で求められますが、2024年以降の制度改正により、住宅の種類や省エネ基準の有無によって最大控除額が異なる ようになっています。そのため、事前に控除額をシミュレーションしておくことで、どのくらいの税額控除が受けられるのかを把握し、より有利な住宅購入計画を立てることができます。
本章では、住宅ローン控除の計算方法を詳しく解説し、シミュレーションを交えながら、どのように節税できるのかをわかりやすく説明します。
4-1. 住宅の種類ごとの最大控除額
住宅ローン控除の最大控除額は 住宅の種類によって異なり、長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅などの高性能住宅ほど優遇される 仕組みになっています。
政府は環境負荷の少ない住宅の普及を推進しており、エネルギー効率の高い住宅ほど控除額の上限が高くなるように設計されています。そのため、省エネ性能を満たした住宅を購入すると、より多くの控除を受けることができます。
以下は、住宅の種類ごとの最大控除額の一覧です(2024年改正後)。
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 最大控除額(年間) | 控除期間 | 最大控除総額(13年間) |
長期優良住宅 | 5,000万円 | 0.7% | 35万円 | 13年 | 455万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 31.5万円 | 13年 | 409.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 21万円 | 13年 | 273万円 |
中古住宅・リフォーム | 2,000万円 | 0.7% | 14万円 | 10年 | 140万円 |
ポイント
- 長期優良住宅やZEH水準住宅は、借入限度額が大きく設定されており、最大控除額が高い
- 省エネ基準適合住宅は控除対象となるが、借入限度額は3,000万円まで
- 中古住宅やリフォームは最大控除期間が10年間となり、上限額も低めに設定されている
最大の控除を受けたい場合は、省エネ基準を満たす住宅を選び、長期優良住宅やZEH水準住宅を検討する ことで、より大きな節税効果が期待できます。
4-2. 住宅ローン控除額の計算方法を詳しく解説
住宅ローン控除額は、「住宅ローン残高 × 控除率(0.7%)」で計算され、年間の控除額には上限がある ことを理解しておくことが重要です。
住宅ローン控除の計算方法はシンプルですが、控除できる金額には制限があるため、借入額が大きくても全額が控除されるわけではありません。また、控除対象となるのは住宅ローン残高であり、実際に支払った利息ではない ため、計算ミスを防ぐためにも仕組みを正しく理解しておく必要があります。
ケース1:省エネ基準適合住宅(借入額3,500万円)
- 住宅ローン残高(初年度):3,500万円
- 控除率:0.7%
- 年間控除額:3,500万円 × 0.7% = 24.5万円(ただし、上限は21万円)
- 適用される控除額:21万円
→ 3,500万円の借入でも、最大控除額21万円を超える部分は控除されない
ケース2:長期優良住宅(借入額5,000万円)
- 住宅ローン残高(初年度):5,000万円
- 控除率:0.7%
- 年間控除額:5,000万円 × 0.7% = 35万円(上限額35万円のため、全額控除可能)
- 控除期間13年間の合計控除額:35万円 × 13年 = 455万円
✔ 借入額が上限を超えないよう、控除を最大限活用できる金額を計算する
✔ 住宅の種類ごとの借入限度額を意識し、賢く住宅ローンを組む
住宅ローン控除額は、「住宅ローン残高 × 0.7%」で計算されるが、上限額が設定されているため、住宅の種類に応じて計画的に借入を行うことが重要 です。
4-3. 簡単に計算するならシミュレーションを活用しよう
住宅ローン控除額は、自分で計算することも可能ですが、オンラインのシミュレーションツールを活用することで、より正確に控除額を把握することができます。
住宅ローン控除の計算は基本的な数式で求められますが、実際には年ごとに住宅ローン残高が減少するため、長期的な視点で控除額を把握することが重要 です。シミュレーションツールを使えば、借入額や返済期間に応じた控除額の変動も簡単に試算できます。
例えば、国税庁や住宅ローンを提供する銀行の公式サイトでは、以下のような情報を入力することで簡単に控除額を計算できます。
✅ 入力項目
- 借入金額
- 金利
- 返済期間
- 住宅の種類(長期優良住宅、ZEH水準など)
✅ 結果として得られる情報
- 年間の住宅ローン控除額
- 13年間の合計控除額
- 住民税控除の適用有無
シミュレーションツールを活用することで、住宅ローン控除の具体的な金額を事前に把握し、最適な借入額を計画的に決めることができます。
5. 住宅ローン控除を受けるための手続き方法と注意点
住宅ローン控除は、住宅を購入した人が受けられる税制優遇制度ですが、適用を受けるためには正しい手続きを行うことが必要 です。特に、1年目は確定申告が必須 であり、必要な書類を揃えて申請しなければ控除を受けられません。
また、2年目以降は会社員であれば年末調整で控除を受けることができますが、申請を忘れると大きな損をしてしまう可能性があります。さらに、申請を忘れた場合の救済措置(還付申告) も存在するため、万が一申請を逃してしまった場合の対処方法も知っておくと安心です。
本章では、住宅ローン控除を受けるための手続きの流れや注意点について、わかりやすく解説します。
5-1. 1年目に必要な確定申告の流れ
住宅ローン控除を受けるには、1年目に確定申告を行うことが必須 です。会社員でも年末調整では対応できないため、忘れずに申請しましょう。
住宅ローン控除は、所得税から控除される仕組み になっています。会社員は通常、年末調整で税額が確定しますが、住宅ローン控除の適用を受けるためには初年度に確定申告を行う必要がある ため、通常の年末調整だけでは手続きが完了しません。
確定申告を忘れてしまうと、控除を受けられなくなり、数十万円以上の税金を余分に支払うことになる可能性があります。そのため、住宅を購入した年の翌年2月~3月の確定申告期間内に、必ず申請を行いましょう。
確定申告の流れ
✅ ステップ1:必要書類を準備する
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署で取得)
- 住宅ローンの「残高証明書」(銀行から送付される)
- 住民票の写し(住宅の所在地を証明するため)
- 登記事項証明書(法務局で取得)
- 売買契約書または工事請負契約書のコピー
✅ ステップ2:税務署またはオンラインで申告
- 税務署に直接提出する場合 → 確定申告書を記入し、必要書類を添えて提出
- オンライン申請(e-Tax)を利用する場合 → マイナンバーカードを用意し、国税庁のシステムから申請
✅ ステップ3:控除額が反映される
確定申告が完了すると、申告した年の所得税額が減額され、還付金が発生する場合は指定の口座に振り込まれます。また、住民税の控除は翌年度から適用 されます。
✔ 住宅ローン契約時に必要書類を確認し、事前に準備しておく
✔ 確定申告の締め切り前(2月~3月)に申請を完了する
✔ e-Taxを活用して、スムーズにオンライン申請を行う
住宅ローン控除を受けるには、1年目に確定申告を行うことが必須 です。申請を忘れると大きな損をする可能性があるため、早めに準備し、確実に手続きを済ませましょう。
5-2. 2年目以降の手続き方法と注意点
2年目以降は、会社員であれば年末調整で手続きが完了 します。ただし、適用を継続するには税務署から送られる「住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先に提出することが必要 です。
1年目の確定申告を完了すると、税務署から毎年「住宅借入金等特別控除申告書」が送られてきます。この書類を勤務先の経理担当者に提出することで、年末調整の際に住宅ローン控除が適用され、翌年の税負担が軽減されます。
ただし、申告書を紛失したり、提出を忘れたりすると、控除を受けられなくなる可能性がある ため、注意が必要です。
✅ 年末調整で必要な書類
- 住宅借入金等特別控除申告書(税務署から送付される)
- 住宅ローンの残高証明書(金融機関から送付される)
✅ 年末調整の流れ
- 会社から配布される「年末調整の申告書」に必要事項を記入
- 「住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅ローン残高証明書」を添付
- 勤務先に提出(通常、11月~12月)
✔ 税務署から送られる書類を紛失しないよう、毎年保管しておく
✔ 勤務先の年末調整の締め切りを確認し、早めに手続きを済ませる
✔ 会社員でない人(個人事業主など)は、毎年確定申告が必要なことを忘れない
2年目以降は、年末調整で住宅ローン控除を受けることができるため、会社員であれば確定申告は不要 です。ただし、必要書類の提出を忘れると控除が適用されないため、注意が必要 です。
5-3. 申請を忘れた場合の還付申告について
住宅ローン控除の申請を忘れてしまった場合でも、5年以内であれば「還付申告」を行うことで、遡って控除を受けることが可能 です。
住宅ローン控除の申請を忘れると、本来受けられるはずの税額控除が適用されず、税負担が増えてしまいます。しかし、税法上、還付申告を行うことで、過去5年間の未申請分の住宅ローン控除を受け取ることが可能 です。
✅ 還付申告の手続き方法
- 税務署に「住宅借入金等特別控除の還付申告書」を提出
- 必要書類(住宅ローン残高証明書、住民票、登記事項証明書など)を添付
- 還付申告が受理されると、後日所得税の還付を受けられる
✔ 申請を忘れてしまったら、すぐに税務署に相談する
✔ 還付申告の期限(5年以内)を確認し、早めに手続きを行う
住宅ローン控除の申請を忘れてしまった場合でも、5年以内なら還付申告が可能です。気づいたら早めに税務署へ相談し、申請を行いましょう。
6. まとめ|住宅ローン控除を活用して賢く節税しよう
住宅ローン控除は、住宅購入者にとって大きなメリットのある税制優遇制度ですが、適用を受けるには正しい知識と手続きが必要 です。特に、2024年の改正では 省エネ基準を満たさない住宅が控除対象外 になるなど、従来とは異なるルールが導入されています。そのため、制度の詳細を理解し、自分の住宅が控除の対象となるかを確認することが重要です。
本記事では、住宅ローン控除の仕組みや改正ポイント、適用条件、控除額の計算方法、手続きの流れなどを詳しく解説しました。最後に、住宅ローン控除を最大限活用するためのポイントを整理し、住宅購入を検討している方に向けたアドバイスをお伝えします。
6-1. 住宅ローン控除の適用条件を再確認しよう
住宅ローン控除を受けるためには、住宅の種類や性能、ローンの条件など、複数の要件を満たす必要がある ため、事前にしっかりと確認することが重要です。
住宅ローン控除には、新築・中古・リフォームのいずれの場合でも適用条件が細かく設定されており、条件を満たさないと控除を受けることができません。特に、2024年の改正では、省エネ基準を満たすことが必須となったため、住宅の性能に関する確認が欠かせません。
✅ 新築住宅の適用条件
- 省エネ基準適合住宅であること(ZEH水準、省エネ基準適合住宅、長期優良住宅など)
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 床面積が50㎡以上(40㎡以上でも年収1,000万円以下なら適用可能)
✅ 中古住宅の適用条件
- 築年数が一定以下(木造20年、鉄筋コンクリート25年)または耐震基準を満たしていること
- 登記簿上の床面積が50㎡以上(40㎡以上でも年収1,000万円以下なら適用可能)
✅ リフォーム住宅の適用条件
- 工事費用が100万円以上であること
- 耐震改修や省エネ改修などの特定リフォームに該当すること
✔ 購入前に住宅が適用条件を満たしているか不動産会社や金融機関に確認する
✔ 中古住宅の場合、耐震基準を満たしているかをチェックし、必要なら耐震改修を行う
✔ リフォームの場合は、対象となる工事内容かどうかを確認し、計画を立てる
住宅ローン控除を受けるには、自分の住宅が適用条件を満たしているかを事前に確認することが不可欠 です。控除を逃さないよう、購入やリフォームの前にしっかりと準備をしましょう。
6-2. 住宅ローン控除で最大限の節税メリットを得るためのポイント
住宅ローン控除を最大限活用するためには、控除額の計算方法を理解し、無駄なく適用を受けられるように工夫することが重要 です。
控除額は 「住宅ローン残高 × 控除率(0.7%)」 で計算されますが、住宅の種類によって借入限度額が異なります。そのため、住宅の種類ごとの上限を意識しながらローンを組むことが、節税効果を最大化するポイント になります。
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 最大控除額(年間) | 控除期間 | 最大控除総額(13年間) |
長期優良住宅 | 5,000万円 | 0.7% | 35万円 | 13年 | 455万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 31.5万円 | 13年 | 409.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 21万円 | 13年 | 273万円 |
中古住宅・リフォーム | 2,000万円 | 0.7% | 14万円 | 10年 | 140万円 |
✔ 長期優良住宅やZEH水準住宅を選ぶことで、最大の控除額を受けられる
✔ 住宅ローンの借入額を適切に設定し、控除の恩恵を最大化する
✔ シミュレーションツールを活用し、住宅ローン控除の効果を事前に試算する
住宅ローン控除で最大限の節税効果を得るためには、借入額の上限や控除額を理解し、住宅の種類に応じた最適なプランを立てることが重要 です。
6-3. 申請手続きを確実に行い、控除を逃さないための注意点
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告(1年目)と年末調整(2年目以降)の手続きを忘れずに行うことが大切 です。
住宅ローン控除は、適用条件を満たしていても申請手続きをしなければ控除を受けることができません。特に、1年目の確定申告を忘れると大きな損をしてしまう可能性があります。
✅ 1年目(確定申告が必要)
- 住宅ローンの残高証明書、住民票、登記事項証明書などを用意
- 税務署またはe-Taxで申請
✅ 2年目以降(会社員なら年末調整でOK)
- 税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先に提出
✅ 申請を忘れた場合(還付申告が可能)
- 5年以内なら還付申告を行い、過去の控除を受けることができる
✔ 確定申告の締め切り(2月~3月)を忘れずに申請する
✔ 税務署からの書類を保管し、年末調整時に確実に提出する
✔ 申請を忘れた場合は還付申告を活用する
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告と年末調整を確実に行い、控除を逃さないようにすることが重要 です。

投稿者プロフィール

-
有限会社ひかり不動産 代表取締役
宅地建物取引士 二級建築士
埼玉県美里町に生まれ育ち
1987年~1990年:住宅建築・不動産会社勤務
1990年~:有限会社ひかり不動産
2000年~現在:有限会社ひかり不動産 代表取締役
不動産・住宅建築業界一筋で業界歴35年超のベテラン
長年の経験と今まで培ってきた事 そして、こだわりのある
「自然素材の家づくり」について皆様にお伝えします
最新の投稿
不動産2025年4月15日空き家売却のベストな方法を知って将来のトラブルを未然に防ごう
家づくり2025年4月11日無垢材の種類の違いが丸わかり!木材選びに迷わないための完全ガイド
不動産2025年4月8日空き家売却における税金の基礎から特例までをわかりやすく解説
家づくり2025年4月4日家づくりの流れを完全攻略!家づくり初心者でも安心して進められるステップガイド