空き家を所有している方の中には、「このまま放置していて大丈夫なのか?」「いつかは売らないといけないけれど、何から始めればいいのか分からない」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。空き家の放置は、老朽化による倒壊リスクや近隣トラブル、税金や管理費の増加など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
本記事では、空き家をスムーズに、かつ適正な価格で売却するために知っておきたいポイントを徹底的に解説します。売却方法の選択から税金や補助金の知識、不動産会社の選び方、よくある質問への回答まで、初めて空き家を売る方でも安心して取り組めるよう網羅的にまとめました。
空き家を「負の資産」にしないために、ぜひ最後まで読んで正しい売却の知識を身につけてください。
空き家売却の方法にはどんな選択肢があるのか徹底解説
空き家をそのまま売却する選択肢とは
空き家を売却する際、もっとも手間が少ない方法が「現状のまま売却する」ことです。リフォームや解体などの大掛かりな作業をせずに、そのままの状態で市場に出すことができるため、手続きのスピードや費用の面でメリットがあります。
この方法が適しているのは、比較的立地条件が良い場合や、購入者が建物の状態をリフォーム前提で見ているようなケースです。近年ではDIY志向の購入者や、建築業者が自ら改修を前提として買い取るケースも増えてきており、「古家付き土地」として一定の需要があるのも事実です。
しかし注意すべき点もあります。建物の老朽化が著しい場合は、買い手が見つかりにくくなるリスクがあります。また、現状売却では、建物の瑕疵(かし)について責任を問われる可能性もあるため、事前にインスペクション(建物診断)を行い、買主に情報提供する姿勢が重要です。
したがって、空き家をそのまま売却する場合には、まず不動産会社に相談し、現地を見てもらった上で適切な売却戦略を練ることが必要不可欠です。売却価格に過度な期待を抱くのではなく、相場や現状を正しく理解することで、納得感のある売却が実現できます。
空き家を解体して更地で売却する方法
空き家の建物が老朽化し、安全面や近隣トラブルが懸念される場合は、思い切って建物を解体し「更地」にしてから売却する方法が選ばれます。更地は用途の自由度が高く、住宅用地・商業用地・駐車場など、さまざまなニーズに応えられるため、購入希望者が増える可能性があります。
この方法の最大の利点は、「土地」としての純粋な価値が評価されやすい点にあります。特に都心部や人気のエリアでは、更地にした瞬間に問い合わせが増えることも珍しくありません。また、古家付きよりも売却後のトラブルリスクが少なく、買主にとっても安心材料になります。
一方で、デメリットとしては「解体費用」の負担が挙げられます。建物の規模や構造にもよりますが、木造であれば150万〜250万円前後、鉄筋やRC構造ではそれ以上かかることも。さらに、建物を解体すると住宅用地の特例(固定資産税が6分の1)が適用されなくなり、税負担が一気に増えるリスクがあります。
このような点を踏まえ、解体前には「解体して高く売れるか」「税金負担がどの程度増えるか」「補助金は活用できるか」などを多角的に検討しましょう。不動産会社や解体業者、行政の相談窓口と連携し、失敗のない準備を整えることが成功のカギになります。
空き家をリフォームして売却するという手もある
空き家がある程度の築年数で、基礎や構造がしっかりしている場合、「リフォームしてから売却する」という選択肢も検討する価値があります。特に、立地条件が良い場合や、周辺に賃貸需要・ファミリー層の流入があるエリアでは、リフォーム済み住宅は非常に魅力的な商品となります。
リフォーム後に売却する最大のメリットは、売却価格の上昇が見込める点です。「新築同様」あるいは「すぐ住める」という印象を与えることで、内覧者の購入意欲を刺激することができます。売却活動において、第一印象は極めて重要であり、室内の美観・機能性を高めることが購入決断の大きな要因となります。
ただし、リフォームにはコストがかかります。キッチン・バス・トイレなどの水回りを中心とした改修で数十万円から、全面リフォームでは200万円を超えるケースも少なくありません。リフォームの投資額に対して、どれだけ売却益が出るのかを事前にシミュレーションすることが大切です。
リフォーム後の売却を考えるなら、「過剰リフォーム」は避けるべきです。購入者の好みに合わない仕様にしてしまうと、かえって売れにくくなり、無駄な投資となってしまうからです。信頼できるリフォーム会社と協力し、必要最小限の改修にとどめるのが賢明です。
不動産会社や買取業者に直接売却するには
売却を急ぐ必要がある方や、物件の状態が悪く一般市場では売りづらいという場合には、「買取業者への直接売却」という方法が有効です。これは、仲介ではなく、業者が買主となり、物件を即金で買い取る仕組みです。
この方法の魅力は「早く」「確実に」「手間なく」売却できる点です。通常の仲介では、購入希望者を探し、内覧対応をし、価格交渉を行い…といった手間がかかりますが、買取なら数日〜1ヶ月以内に現金化できることもあります。相続直後で維持費の負担を避けたい場合や、地方の空き家をすぐ手放したい方には非常に向いています。
しかし、注意点もあります。買取価格は市場価格の7〜8割程度に設定されるのが一般的で、相場より安くなる可能性が高いです。業者はその後に再販やリノベーションを行うため、利益を見込んだ価格設定をするためです。
そのため、買取を依頼する際は複数社から見積もりを取り、比較することが重要です。地域の相場を理解している地元密着型の業者や、空き家買取に特化した会社などを選ぶと、適正価格での取引につながります。時間をお金で買うようなイメージで、状況に応じて柔軟に判断しましょう。
空き家売却で発生する税金と費用の全体像
空き家売却にかかる税金の種類とは
空き家を売却する際、多くの方が見落としがちなのが「税金の負担」です。売却によって得られた利益には、所得税や住民税が課税されるため、手元に残る金額が想像より少ないことがあります。
まず基本となるのは「譲渡所得税」です。これは、売却価格から取得費(購入費や購入時の諸経費など)と譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた金額=譲渡所得に対して課税されます。さらに、この所得に対し「住民税」と「復興特別所得税」も加わります。
税率は所有期間によって異なり、5年以下の短期所有では約39%、5年を超える長期所有では約20%が課税されます。つまり、相続したばかりで売却する場合と、長年保有していた場合とでは、納める税金の額に大きな差が出ることになります。
このように、空き家の売却では「利益=そのままの利益」ではないことを理解し、売却前にしっかりとシミュレーションを行うことが必要です。税理士や不動産会社に相談し、手取り額を計算してから行動を起こすことで、後悔のない売却が可能となります。
仲介手数料やリフォーム・解体などの費用
空き家売却にかかるコストは、税金だけではありません。実際の売却活動に伴って発生する費用も見逃せない要素です。その代表例が「仲介手数料」と「修繕費用」、そして「解体費用」です。
仲介手数料は、不動産会社を通じて売却する場合に支払う報酬で、法律により「(売却価格×3%)+6万円+消費税」が上限と定められています。例えば1,000万円で売却した場合、約39万円が手数料としてかかる計算になります。意外と高額なため、売却後に「こんなに引かれるのか」と驚く人も少なくありません。
また、建物の状態が悪ければ「最低限の修繕」や「清掃・片付け」などにも費用が発生します。物件の印象は売却価格に大きな影響を及ぼすため、可能な限り綺麗にしておくことが望ましいですが、その分の費用も計算に入れておく必要があります。
さらに、建物を解体して更地で売却する場合、解体工事費として数十万円〜200万円以上が必要です。木造か鉄骨造か、面積や場所によって金額は変動します。また、アスベストなどの有害物質が含まれていれば処分費がさらに加算されます。
売却にかかるこれらのコストは、見積もりを取って具体的に算出しておくことが肝心です。「売れるかどうか」だけでなく「いくら残るのか」までを視野に入れた、現実的な売却計画が成功への道筋をつくります。
補助金の活用で費用負担を軽減する方法
費用負担をできるだけ軽くしたい。そう考える方にとって、空き家売却に関係する「補助金制度」の活用は非常に有効な手段です。各自治体では、空き家の解体や利活用を促進するため、さまざまな支援制度を設けています。
特に注目すべきなのが「空き家解体補助金」です。これは、老朽化して危険な建物を除去する際に、自治体が一定の費用を負担してくれる制度です。支給額は自治体によって異なりますが、10万円〜100万円程度の範囲が多く、全額ではないにせよ、大きな負担軽減につながります。
また、建物のリフォームや耐震補強、バリアフリー改修に対しても補助金が出る地域があります。これらは、「地域の景観保全」や「空き家再利用促進」の観点から支援されているもので、売却前の付加価値向上にも寄与します。
補助金の申請には条件や審査があるため、「空き家であれば必ず受けられる」というわけではありません。しかし、条件を満たせば非常に有効な制度であることは間違いありません。申請のタイミング、必要書類、予算枠などを早めに確認し、手続きを進めるようにしましょう。
地元の市役所・町役場の住宅政策課や空き家対策課が窓口となっていることが多いため、まずは相談してみるのが第一歩です。支援制度を活用することで、無理なく空き家の売却を進めることが可能になります。
空き家売却で税金を抑える補助金・特例制度を知っておこう
空き家解体時に活用できる補助金とは
空き家の解体には想像以上の費用がかかるため、経済的な負担が大きな障壁になります。しかし、これを軽減できるのが「空き家解体補助金」の存在です。多くの自治体が老朽空き家の増加に対応するため、一定の条件を満たす建物に対して補助制度を整備しています。
たとえば、「危険空き家」や「特定空家」に指定された物件は、防災や衛生面の観点から優先的に支援対象になることがあります。補助額は自治体ごとに異なりますが、解体費用の50%程度、上限30万~100万円程度まで助成されるケースが多いです。
補助を受けるには、事前申請が必須であり、申請から審査・承認を経て、解体後に報告・精算という流れになります。無許可で着工すると補助対象外になることがあるため、スケジュール管理と事前の確認が非常に重要です。
地域によっては、所有者の所得制限や建物の築年数に条件が設けられていることもあります。まずは役所の担当窓口に相談し、対象となるかの確認を行いましょう。補助制度を上手に活用することで、経済的な負担を抑えながら空き家問題に対処できます。
被相続人の空き家を売却する際の特例について
相続によって取得した空き家を売却する場合、条件を満たせば「被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特例」という制度を利用できます。これは、最大3,000万円の譲渡所得控除が受けられる特例で、税負担を大きく軽減できるのが特徴です。
この特例の対象となるのは、「昭和56年5月31日以前に建築された耐震基準を満たしていない住宅」であり、かつ「相続発生日から一定期間内に売却されるもの」に限られます。さらに、売却までにその建物を取り壊すか、耐震改修を実施していることも条件です。
この制度の活用により、空き家の売却益が3,000万円以内であれば、譲渡所得税が発生しない可能性があります。たとえば、土地価格が高騰している地域であっても、この控除を活用することで課税対象を抑えることができます。
ただし、制度を適用するには確定申告が必要です。必要書類としては、相続関係説明図や売買契約書、耐震改修証明書または取り壊し証明書などが求められます。税務署や税理士に事前相談をし、確実に手続きを行いましょう。
この特例を知っているか否かで、納める税額に数百万円単位の差が出ることもあるため、空き家の相続・売却を考える方は、早めに制度内容を確認しておくべきです。
相続時の取得費加算制度とは
空き家を相続して売却した場合、「譲渡所得」が高くなりがちですが、一定の条件を満たせば「取得費加算の特例」を利用することができます。これは、相続税を納めた場合、その一部を空き家の取得費として加算できる制度です。
この制度を使うと、譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)から「取得費」が増えることになり、結果的に譲渡所得が小さくなります。たとえば、相続税として500万円支払った場合、そのうち土地や建物にかかる部分が取得費に加算されれば、課税対象が減り、節税効果が得られるという仕組みです。
対象となるのは、相続税の申告期限(10カ月)以内に売却された財産であること、かつ相続税の課税対象となっていた空き家であることなど、いくつかの条件があります。また、相続税の納付があることが前提であるため、すべての相続人が対象になるわけではありません。
この制度を適用するには、確定申告の際に「取得費加算に関する明細書」を作成・添付する必要があります。手続きはやや複雑なため、税理士と相談しながら進めるのが無難です。
この特例は、「相続してからすぐ売却する予定がある方」や「相続税の負担が大きかった方」にとって、非常に大きな節税メリットとなる可能性があるため、制度の内容をしっかり理解しておくことが不可欠です。
有限会社ひかり不動産は、埼玉県美里町を中心に本庄市や児玉郡内の不動産の取り扱いと住宅建築を手掛ける創業50余年の地域密着企業です。土地や空家の買取りもお任せください。
住宅建築では、自然素材をふんだんに使用した注文住宅やリフォームを手掛けています。

空き家を売却するときの注意点
名義変更が済んでいるか事前にチェック
空き家を売却する際、最も基本かつ重要な準備が「名義の確認」です。相続した空き家の名義が故人のままになっているケースは非常に多く、この状態では法的に売却することができません。名義が旧所有者のままでは、売買契約の締結や登記移転が行えないため、買主にも不信感を与えてしまいます。
まずは登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、現在の所有者が誰になっているかを確認しましょう。相続登記が済んでいない場合は、必要書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)を揃え、司法書士に依頼して手続きを進める必要があります。
名義変更には数週間から1ヶ月ほどかかることもあるため、売却活動に入る前に、早めに対応しておくことがポイントです。また、共有名義の場合は、すべての共有者の同意が必要になります。スムーズな売却を行うためにも、事前の名義確認と整理は必ず行いましょう。
解体やリフォームのタイミングを見誤らないように
空き家売却を考える際に迷いやすいのが、「そのまま売るか、リフォームまたは解体して売るか」という判断です。このタイミングを見誤ると、想定外の出費や長期化する売却活動につながることがあります。
例えば、築年数が古く設備も老朽化している場合、買主にとっては手を加える前提の物件となり、結果的に売却価格が下がる要因にもなります。一方、思い切って解体して更地で売ることで用途の幅が広がり、かえって早く・高く売れるケースもあるのです。
リフォームについても、すべてを新しくするのではなく、最低限の修繕で「印象を良くする」ことが目的であるべきです。過剰に手を加えてしまうと、費用ばかりかかり、購入者のニーズと合わない可能性も出てきます。
解体やリフォームを行う前には、不動産会社に現地を見てもらい、どの売却方法が最も費用対効果に優れるかを必ず相談しましょう。プロの目線を取り入れることで、失敗のないタイミングと方法を見極めることができます。
売却には余裕を持ったスケジュール管理を
空き家の売却には、思っている以上に時間がかかることが多いです。特に地方や過疎地にある物件では、買い手が現れるまでに数ヶ月、場合によっては1年以上かかることも珍しくありません。したがって、早めの準備と計画的なスケジュールが必要です。
まず、物件の査定から始まり、名義変更、必要に応じた修繕や解体、売却活動、交渉、契約、引き渡しといった多くの工程があります。これらすべてをスムーズに行うには、最低でも3ヶ月〜半年は見ておいた方がよいでしょう。
また、空き家には固定資産税や管理費などの維持費が発生し続けるため、売却が長引けばそれだけ所有コストも増加します。加えて、売却を焦るあまり価格を下げてしまうと、結果的に損をしてしまう可能性もあるのです。
売却活動を始める前には、理想的な引き渡し時期を逆算し、段階的なスケジュールを作成しましょう。そして、売却までの過程に柔軟性を持たせることで、余裕を持った判断と対応ができるようになります。
空き家売却に強い不動産会社の選び方
信頼できる不動産会社を見極めるポイント
空き家を適正な価格でスムーズに売却するには、「信頼できる不動産会社選び」が極めて重要です。不動産会社の質によって、売却の成功率や価格、売却までのスピードが大きく変わってくるからです。
まず見るべきは、「地域に根差した実績があるかどうか」です。特に空き家は、立地や周辺環境、自治体の制度などに精通していることが重要であり、その地域で多くの売買を取り扱ってきた会社ほど安心できます。地場密着の不動産会社は、地域の買主とのネットワークを持っているため、スムーズなマッチングが期待できます。
次に確認すべきは、「空き家売却の実績・事例があるか」です。一般的な不動産取引とは異なり、空き家には特有の課題(管理状態の悪さ、権利関係、補助金申請の知識など)が伴うため、経験が浅い会社では対応が難しくなります。実際に空き家の売却を成功させた実例や、顧客の声が紹介されているかをチェックするとよいでしょう。
さらに、対応の丁寧さも重要な評価ポイントです。初回の問い合わせ時から、対応スピードや説明の分かりやすさ、専門的なアドバイスの有無を注意深く観察しましょう。誠実で親身になって対応してくれる会社であれば、契約後も安心して任せることができます。
信頼できる会社は、売主の希望や物件の状態をしっかりとヒアリングし、最適な売却方法を提案してくれます。複数社に相談・査定依頼を行い、比較検討することが、後悔のないパートナー選びの第一歩です。
実績・口コミ・地域密着型の業者が鍵
空き家の売却で後悔しないためには、インターネットや紹介だけに頼らず、「第三者の評価」を必ず確認することが大切です。不動産業界では、知名度や営業力がある大手企業も存在しますが、「空き家売却に強い会社」は必ずしも大手とは限りません。
実績に加えて参考にすべきなのが「口コミや評判」です。Googleマップや不動産関連の口コミサイトには、実際に利用した売主・買主からの生の声が多数投稿されています。「対応が早かった」「査定が他より高かった」「しつこい営業がなかった」など、実際の取引の様子が分かる情報は、非常に貴重です。
また、地元密着型の業者は、その土地の特性や需要、価格帯を熟知しており、買い手とのマッチング精度が高いというメリットがあります。自治体の補助金制度や用途地域の知識なども豊富で、空き家ならではの複雑な課題にも柔軟に対応してくれます。
さらに、不動産会社が加盟している団体(宅建協会など)や、行政が紹介している不動産ネットワークに登録されているかをチェックすることも、安心材料のひとつです。
売却活動は短期戦ではありません。最終的に任せる相手が誠実で、売主の立場に立って動いてくれるかどうかは、口コミや評判で事前にある程度判断ができます。できる限り情報を集め、信頼できる「空き家売却のプロ」と出会うことが、成功への近道です。
空き家の売却はプロのアドバイスをもとに進めよう!
専門家のサポートで失敗のない売却を目指そう
空き家の売却は、一見シンプルな不動産取引に見えますが、実際には多くの専門知識と判断力が求められます。特に、相続、名義変更、税金、解体、補助金など複数の要素が絡み合う空き家の売却では、独力で進めるのはリスクが大きく、後悔するケースも少なくありません。
こうしたリスクを避けるためには、不動産会社だけでなく、税理士や司法書士、行政窓口など「プロフェッショナルの知見」を積極的に活用することが鍵です。それぞれの分野における専門家が関与することで、より的確な判断とスムーズな手続きを実現することができます。
たとえば、相続登記の手続きや名義変更の相談は司法書士、税金の控除や特例の活用については税理士、解体や補助金の確認は行政や建築士が対応できる領域です。これらをバラバラに進めるのではなく、信頼できる不動産会社が中心となって各専門家と連携してくれる体制が理想的です。
また、近年では「空き家専門のワンストップ窓口」を設けている自治体も増えており、無料で相談できる場が整備されています。こうした窓口では、登記、税制、補助金、利活用まで幅広く相談できるため、初めて空き家を売却する人にとって大きな助けとなるでしょう。
空き家の売却を単なる不動産取引と捉えず、包括的なプロジェクトとして考えることが、成功のポイントです。信頼できる専門家の力を借りることで、トラブルを避け、納得のいく取引を進めることができます。
空き家売却は不動産会社選びが成功の鍵
最適なパートナーが売却結果を大きく左右する
空き家の売却において、最も重要な意思決定のひとつが「どの不動産会社に依頼するか」という点です。不動産会社は単に物件を売ってくれる業者ではなく、売却戦略の立案から販売活動、契約書の作成、買主との交渉まで、全てを担うパートナーです。そのため、この選択が成否を大きく分けると言っても過言ではありません。
特に空き家の場合、一般的な不動産とは異なる課題があります。老朽化、相続登記、補助金の申請、地域のニーズへの適応など、専門的な対応が求められるシーンが多く存在します。これらに柔軟に対応できる経験と実績を持った会社でなければ、せっかくの売却チャンスを逃してしまうこともあります。
良い不動産会社を見極めるには、「空き家の取扱い実績が豊富か」「地域に精通しているか」「専門家との連携体制が整っているか」が大きな判断材料になります。また、査定時に丁寧な説明があるか、売主の事情を理解した提案をしてくれるかも重要なポイントです。
さらに、売却活動に入ってからのフォロー体制にも差が出ます。こまめに報告をくれるか、売れない場合に対策を講じてくれるか、トラブルがあったときにすぐ対応してくれるかなど、信頼できる対応力が問われます。
不動産会社選びを成功させるためには、複数社に査定を依頼し、対応や提案の内容を比較することが有効です。その中で、「この担当者なら任せられる」と思える相手を見つけることが、空き家売却を成功に導く最初の一歩です。
空き家売却に関するよくある質問
Q. 空き家売却のメリットは?
空き家を所有し続けることで、「固定資産税の支払い」や「老朽化による倒壊リスク」「景観悪化による近隣トラブル」など、実に多くのデメリットが発生します。これに対し、空き家を早期に売却することには多くのメリットがあります。
最大の利点は、「所有リスクからの解放」です。管理・維持費や万が一の事故の責任など、目に見えない負担から解放されるのは、精神的にも大きな安心感につながります。また、売却によってまとまった資金を得られるため、相続人間でのトラブルを避ける手段にもなります。
さらに、空き家は放置するほど価値が下がる傾向があるため、早めの売却が資産価値を保つためにも重要です。買い手が付きやすいうちに行動を起こすことが、最も合理的で損をしない方法といえるでしょう。
Q. 空き家売却に向けて自分でできる工夫は?
空き家売却にあたっては、不動産会社任せにせず、売主自身でも準備できることが数多くあります。中でも大切なのは「第一印象を良くすること」です。
具体的には、庭の草刈りや室内の掃除、不用品の撤去など、できる範囲で清掃・整備を行うだけでも、内覧時の印象が大きく変わります。人が住んでいなくても「手入れされている家」は、購入希望者に安心感と好印象を与えます。
また、物件の資料や権利関係の書類を事前にまとめておくことで、売却活動がスムーズに進みます。登記情報や固定資産税の明細、建築時の図面などがあれば、買主からの信頼も得やすくなります。
Q. 空き家売却の相談は誰にすればいい?探すときのコツは?
売却の相談先としては、まず不動産会社が思い浮かびますが、それだけでなく「自治体の空き家相談窓口」や「相続や登記に詳しい司法書士」など、複数の窓口を活用することが大切です。
特に自治体が提供する「空き家バンク」や「ワンストップ相談窓口」では、地域に精通した専門家が無料でアドバイスを行ってくれることも多く、公的な制度や補助金についての情報も得られます。
相談先を探す際は、「空き家 売却 地域名」などで検索し、地域密着型で実績のある業者や窓口をリストアップしてみましょう。複数の候補とやり取りする中で、対応の早さや親身さを見極めることも大切です。
Q. 売却がどうしてもうまくいかない場合は?
空き家がなかなか売れない場合、「価格が適正でない」「物件の状態が悪い」「立地条件が厳しい」などの要因が考えられます。その際は、柔軟な対策が必要です。
まず行うべきは「売却戦略の見直し」です。不動産会社に再査定を依頼し、市場動向を踏まえた価格設定に修正してみましょう。また、内覧時の印象を良くするために、ハウスクリーニングや外観の整備を行うだけでも大きな効果があります。
それでも難しい場合には、「不動産買取業者への売却」や「賃貸として活用する」という選択肢も検討しましょう。状況に応じて選択肢を広げることが、結果的に早期の問題解決へとつながります。


投稿者プロフィール

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有限会社ひかり不動産 代表取締役
宅地建物取引士 二級建築士
埼玉県美里町に生まれ育ち
1987年~1990年:住宅建築・不動産会社勤務
1990年~:有限会社ひかり不動産
2000年~現在:有限会社ひかり不動産 代表取締役
不動産・住宅建築業界一筋で業界歴35年超のベテラン
長年の経験と今まで培ってきた事 そして、こだわりのある
「自然素材の家づくり」について皆様にお伝えします
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