不動産を購入する際、多くの人が物件選びや価格交渉に注目しがちですが、実は「不動産購入申込書」が重要な役割を果たします。購入申込書は、買主が売主に対して「この物件を購入したい」という意思を示す書類であり、売買契約へと進む第一歩となります。

しかし、「不動産購入申込書に法的拘束力はあるのか?」「提出後にキャンセルできるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。適切なタイミングで正しく提出しないと、交渉が不利になったり、思わぬトラブルに発展したりする可能性もあります。

本記事では、「不動産購入申込書とは?提出のメリットや注意点を徹底解説!」というタイトルのもと、購入申込書の基本的な役割から提出の流れ、記入時の注意点、トラブルを回避する方法まで詳しく解説します。

1. 不動産購入申込書とは?その役割と重要性

不動産を購入する際、まず最初に提出する書類が「不動産購入申込書」です。この申込書は、購入希望者が物件を買いたい意思を示すために作成する書類であり、売主に対して正式な購入希望を伝える重要な役割を持ちます。本章では、不動産購入申込書の基本的な役割や、買付証明書との違い、提出するメリットについて詳しく解説します。

1-1. 不動産購入申込書の基本的な役割とは?

不動産購入申込書は、購入希望者が「この物件を購入したい」という意思を売主に伝えるための書類です。ただし、この申込書には法的拘束力がなく、売買契約を結ぶ前の段階で提出するものです。

不動産取引は、売主と買主の合意に基づいて進められるものです。しかし、物件の売買には交渉が伴い、複数の買主候補がいる場合もあります。そのため、売主は購入希望者の意思を確認するために「不動産購入申込書」の提出を求めることが一般的です。

この申込書を通じて、買主は希望する購入条件(価格、支払方法、契約希望日など)を売主に伝えることができます。また、売主にとっても、この書類をもとに購入希望者の意向を確認し、交渉を進める材料とすることができます。

例えば、3,500万円のマンションを購入したい場合、買主は不動産購入申込書に以下のような内容を記入します。

  • 希望購入価格:3,400万円(値引き交渉を希望)
  • 支払方法:住宅ローン利用(頭金500万円、ローン借入額2,900万円)
  • 契約希望日:〇月〇日
  • 引渡し希望日:〇月〇日

売主はこの申込書をもとに、購入希望者の条件を検討し、他の買主と比較したうえで売却の可否を決定します。

不動産購入申込書は、売主に購入意思を伝え、交渉をスムーズに進めるための重要な書類です。法的拘束力はないものの、売買契約の第一歩となるため、正確な内容を記入し、慎重に提出することが求められます。

1-2. 不動産購入申込書と買付証明書の違い

「不動産購入申込書」と「買付証明書」は、どちらも購入の意思を示す書類ですが、内容や用途が異なります。不動産購入申込書は買主が提出するものであり、買付証明書は売主が発行する書類です。

不動産購入申込書は、買主が自らの意思で提出するもので、物件を購入したい意思と希望条件を伝えるための書類です。一方、買付証明書は、売主側が「この物件を〇〇万円で売却する意思がある」と示すものであり、売買契約の交渉材料として活用されます。

項目不動産購入申込書買付証明書
提出者買主売主(または仲介業者)
目的購入の意思を伝える売却の意思を示す
法的拘束力なしなし(合意すれば契約へ)

例えば、ある物件に対してAさんとBさんの2人の買主が購入申込書を提出した場合、売主はどちらと契約するかを検討することになります。売主がAさんに売却を決めた場合、買付証明書を発行し、Aさんに正式な売買契約の準備を促します。

不動産購入申込書は買主が提出し、買付証明書は売主が発行する書類です。どちらも法的拘束力はないものの、不動産取引の重要なステップとなるため、それぞれの役割を理解して適切に活用しましょう。

1-3. 不動産購入申込書を提出するメリットとは?

不動産購入申込書を提出することで、買主は希望する物件の購入優先権を得ることができ、スムーズな契約に進む可能性が高まります。また、売主からの情報提供が増えることで、交渉を有利に進めることができます。

売主にとって、購入申込書を提出する買主は「本気度の高い購入希望者」となります。そのため、売主は申込者に対して優先的に情報提供を行い、価格交渉や契約スケジュールの調整を行う傾向があります。

また、購入申込書を提出することで、他の買主よりも優先的に交渉のテーブルにつくことができ、希望条件での契約成立の可能性が高まります。

メリット詳細
物件購入の優先権を得られる他の購入希望者よりも先に交渉できる
売主との情報共有がスムーズに価格や契約条件の交渉がしやすくなる
希望物件を確保しやすい申込者として売主に認識される

例えば、人気エリアのマンションを購入する際、複数の購入希望者がいる場合があります。このとき、いち早く購入申込書を提出することで、売主に「この人は購入の意思が固い」と認識され、交渉の優先権を得ることができるのです。

不動産購入申込書を提出することで、購入の優先権を得たり、交渉を有利に進めたりすることができます。

特に人気物件の場合、早めに提出することで希望条件での契約成立の可能性が高まるため、積極的に活用しましょう。

2. 不動産購入申込書の提出の流れとタイミング

不動産購入申込書を提出するタイミングは、購入手続きをスムーズに進めるための重要なポイントです。

提出の時期によって、売主との交渉が有利になることもあれば、逆に購入希望者同士の競争が激しくなることもあります。

本章では、不動産購入申込書を提出する適切なタイミングや、提出後にどのような流れで進むのかについて詳しく解説します。

2-1. どのタイミングで提出するべきか?

不動産購入申込書の提出タイミングは、購入希望者の資金計画や交渉状況によって異なります。一般的に、住宅ローンの事前審査が通った後や、現金購入の意思が固まった時点で提出するのがベストです。

不動産取引はスピード勝負の場面も多く、特に人気のある物件では、購入希望者が複数いることが少なくありません。そのため、購入意思を示すために早めに申し込みをすることが重要です。しかし、住宅ローンの審査が通る前に申込書を提出すると、最終的にローンが承認されずに契約が進まないリスクもあります。

そのため、確実に購入できる状態を整えたうえで申し込むことが望ましいのです。

購入希望者の状況に応じて、提出のベストタイミングを以下にまとめました。

タイミング推奨される購入者の状況メリット
物件を気に入り、すぐに申し込みたい場合住宅ローンなし・現金購入が可能競争がある場合、優先的に契約を進めやすい
住宅ローンを利用する場合事前審査(仮審査)が通った後売主との契約がスムーズに進む
価格交渉をしたい場合他の購入希望者がいない、または少ない状況希望価格での交渉が可能

例えば、3,000万円のマンションを現金で購入しようとしている場合、他のローン利用者よりも早く申し込むことで売主に好印象を与え、優先的に契約を進めてもらえる可能性があります。

一方、住宅ローンを利用する場合は、事前審査が通ってから申し込むことで、契約が確実に進む状態を作ることができます。

不動産購入申込書を提出するベストなタイミングは、資金計画が明確になった段階です。住宅ローンを利用する場合は、事前審査が通った後が理想的であり、現金購入の場合は早めの申し込みが有利になります。

2-2. 不動産購入申込書提出後の流れ

不動産購入申込書を提出した後は、売主との交渉、売買契約の締結、住宅ローン本審査(ローン利用者の場合)といったステップが続きます。申込書を提出したからといって即座に契約が成立するわけではないため、売主の動きを見ながら慎重に進めることが重要です。

不動産購入申込書は、あくまで「購入意思を示す」ものであり、これをもとに売主との交渉が行われます。

そのため、売主が他の購入希望者と比較する時間が必要になったり、希望価格の調整が必要になったりすることがあります。

また、住宅ローンを利用する場合は、申込書提出後に本審査を受けることになります。本審査が通らなければ売買契約が成立しないため、この期間は慎重に動くことが求められます。

不動産購入申込書を提出した後の流れは、以下のようになります。

ステップ内容注意点
①申込書の提出売主へ購入意思を伝える希望条件を明確に記載する
②売主との交渉価格や引き渡し条件などを調整無理な条件を提示しない
③売買契約の締結契約書の内容を確認し、署名・押印契約違反がないよう注意
④住宅ローンの本審査(ローン利用者)事前審査よりも詳細な審査を受ける追加書類の準備が必要
⑤決済・引き渡し代金を支払い、物件を引き渡し残代金の支払いを忘れない

例えば、申込書を提出して売主との交渉が始まったものの、他の購入希望者が現れて価格が競り上がることもあります。

この場合、希望する金額で購入できるよう、売主との交渉を慎重に進める必要があります。また、住宅ローン利用者は、本審査の結果次第で契約が進まなくなるリスクもあるため、事前に資金計画をしっかり立てておくことが重要です。

不動産購入申込書を提出した後は、売主との交渉が始まり、契約締結・住宅ローン本審査を経て最終的な引き渡しに至ります。

特に住宅ローンを利用する場合は、本審査が通らなければ契約が進まないため、申込書提出後も慎重に進めることが大切です。

住宅ローンを利用すると住宅ローン控除が適用されます。そんな住宅ローン控除について解説した記事も一度お読みいただければと思います。

関連記事:住宅ローン控除とは?適用条件や申請方法を詳しく解説!2024年の変更点もチェック

3. 不動産購入申込書に記載する内容と書き方

不動産購入申込書を提出する際、記載内容を正確に記入することが重要です。売主に対して購入の意思を明確に伝えるため、必要な情報を漏れなく記入することが求められます。

また、購入条件によっては交渉の余地が生まれるため、どの項目に注意を払うべきかを理解しておくことが大切です。

本章では、不動産購入申込書に記載すべき内容や具体的な書き方について詳しく解説します。

3-1. 記入すべき主要項目

不動産購入申込書には、買主の情報、物件の詳細、購入希望条件などを記入します。特に「購入希望金額」「手付金」「契約締結希望日」などは売主との交渉に大きく関わるため、慎重に記入する必要があります。

不動産購入申込書は、売主に対して購入の意思を伝える書類であり、記載内容が契約条件の基礎となります。特に、価格や支払い条件は売主との交渉材料になるため、記載内容次第で契約が有利になることもあれば、不利になることもあります。

また、売主が複数の購入希望者を比較する際、記入内容が不明確だったり、希望条件が曖昧だったりすると、優先順位を下げられる可能性があります。そのため、具体的な条件を明確に記入し、スムーズな契約につなげることが大切です。

不動産購入申込書には、主に以下の項目を記入します。

記入項目内容記入時の注意点
申込日申込書を提出した日付有効期限があるため、日付の記入ミスに注意
買主情報氏名、住所、連絡先契約書作成時に必要なため、正確に記入
物件情報物件の所在地、面積、建物の種類物件の正式な情報を記載(仲介会社に確認)
購入希望金額具体的な購入金額市場価格を考慮し、適切な価格を設定
手付金・内金支払う手付金の金額手付金は一般的に購入価格の5〜10%
売買契約締結希望日契約を締結したい日売主とすり合わせが必要
引き渡し希望日物件の引き渡し希望日ローン審査や引越しのスケジュールを考慮

例えば、3,500万円のマンションを購入したい場合、購入希望金額を3,400万円と記入し、値引き交渉の余地を作ることもできます。また、手付金を多めに設定することで、売主に対する誠意を示し、交渉を有利に進めることも可能です。

不動産購入申込書には、買主の情報、物件情報、購入希望条件を具体的に記入することが重要です。特に価格や手付金の金額、契約締結日などの条件を明確にすることで、売主との交渉をスムーズに進めることができます。

3-2. 不動産購入申込書のテンプレートと記入例

不動産購入申込書はフォーマットが決まっており、一般的なテンプレートに沿って記入します。実際の記入例を確認しながら、正しい書き方を学ぶことで、スムーズな提出が可能になります。

不動産購入申込書のフォーマットは、不動産会社や仲介業者によって若干異なりますが、基本的な構成は共通しています。正しく記入することで、売主に対して誠実な印象を与え、交渉をスムーズに進めることができます。

また、申込書の記入ミスや不備があると、契約が遅れたり、売主に不信感を抱かれたりする可能性があるため、慎重に記入することが求められます。

以下は、不動産購入申込書のテンプレートと記入例です。

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【不動産購入申込書テンプレート】

【不動産購入申込書】 

申込日:2024年〇月〇日 

【買主情報】 

氏名:〇〇〇〇 

住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3 

電話番号:090-XXXX-XXXX 

【物件情報】 

物件所在地:東京都〇〇区〇〇町〇丁目 

建物面積:〇〇㎡ 

土地面積:〇〇㎡ 

【購入希望条件】 

購入希望金額:3,400万円 

手付金:200万円 

売買契約締結希望日:2024年〇月〇日 

引渡し希望日:2024年〇月〇日 

【特記事項】 

・住宅ローン利用予定(借入予定額:3,000万円) 

・住宅ローン本審査の結果次第で契約確定 

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このように、必要な情報を具体的に記入することで、売主にとっても分かりやすく、スムーズな契約交渉が可能になります。

不動産購入申込書は、正確に記入することが重要です。フォーマットに沿って必要事項を漏れなく記載し、誤字脱字を避けることで、売主との交渉をスムーズに進めることができます。特に、購入希望金額や契約希望日などは、交渉のポイントとなるため、慎重に決定するようにしましょう。

有限会社ひかり不動産は、埼玉県美里町を中心に本庄市や児玉郡内の「不動産売買」「不動産買取」自然素材の「注文住宅」「リフォーム」などを手がける会社です。

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4. 不動産購入申込書の法的効力とキャンセルの可否

不動産購入申込書を提出した後、「本当にこの物件を買わなければならないのか?」「キャンセルは可能なのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

不動産購入申込書には法的な拘束力があるのか、また提出後にキャンセルすることができるのかを理解することは、トラブルを避けるために非常に重要です。

本章では、不動産購入申込書の法的効力やキャンセルの可否について詳しく解説します。

4-1. 不動産購入申込書に法的拘束力はあるのか?

不動産購入申込書には、基本的に法的拘束力はありません。したがって、申込書を提出したからといって必ずその物件を購入しなければならないわけではなく、契約前であれば撤回することが可能です。

不動産購入申込書は、「この物件を購入したい」という意思表示を売主に伝えるための書類です。しかし、これは売買契約ではなく、正式な契約を締結する前の段階の書類であるため、契約上の義務は発生しません。

民法上、売買契約が成立するのは、「売主と買主が契約内容について合意し、書面で締結したとき」とされています。そのため、不動産購入申込書を提出しただけでは、買主には法的な義務が発生しません。

例えば、3,500万円のマンションに購入申込書を提出した後、以下のような状況が発生する可能性があります。

  • 住宅ローンの本審査に通らなかった → 購入を進められないためキャンセル
  • より条件の良い物件を見つけた → 申込書を撤回し、他の物件を購入
  • 家族の反対があった → 再検討のためキャンセル

このようなケースでは、不動産購入申込書の提出後でもキャンセルが可能です。

不動産購入申込書には法的拘束力がなく、売買契約を締結するまではキャンセルが可能です。ただし、売主との信頼関係を損なう可能性があるため、軽率な申し込みは避けるべきです。

4-2. 申込書提出後にキャンセルは可能?

不動産購入申込書を提出した後でも、売買契約を結ぶ前であればキャンセルが可能です。ただし、申込金を支払っている場合や、売主との交渉が進んでいる場合には、一定の注意が必要です。

不動産購入申込書の提出は、契約の前段階であり、これ自体に法的拘束力はありません。そのため、契約締結前であれば自由に撤回することが可能です。

ただし、申込金を支払っている場合や、売主が他の購入希望者を断った後にキャンセルする場合、トラブルに発展することがあります。

また、売主によっては、申込書をキャンセルすることで「信用できない買主」とみなされ、今後の取引が難しくなる可能性もあります。

キャンセルが可能なケースと注意すべきケースを以下にまとめました。

キャンセルの状況可否注意点
契約前のキャンセル可能売主との信頼関係に影響する可能性あり
住宅ローン本審査が通らなかった可能売主に早めに伝える
手付金を支払った後のキャンセル条件付き契約解除に伴う違約金が発生する場合あり
売主が他の買主を断った後のキャンセル要注意信用問題に発展する可能性あり

例えば、住宅ローンの本審査に通らなかった場合は、速やかに売主に連絡し、購入が難しいことを伝えることが重要です。売主も事情を理解し、キャンセルを受け入れてくれるケースがほとんどです。

一方で、申込金を支払っていた場合は返金の条件を確認し、契約解除の際に返金されるかどうかを慎重にチェックする必要があります。

不動産購入申込書を提出した後でも、売買契約前であればキャンセルは可能です。しかし、申込金の取り扱いや売主との信頼関係を考慮し、慎重に判断することが大切です。

キャンセル時の注意点と違約金の有無

キャンセル時には、違約金の有無や申込金の返金ルールを事前に確認することが重要です。特に、売主が他の買主を断った後にキャンセルすると、トラブルの原因になる可能性があります。

不動産購入申込書のキャンセル自体には違約金が発生しませんが、申込金を支払っていた場合、返金されるかどうかは契約時の取り決めによります。

また、売主の立場からすると、「購入する意思がある」と見込んでいた買主が突然キャンセルすると、再度買主を探す手間が発生し、損害を被る可能性があります。

キャンセルの状況違約金申込金の返金
契約前にキャンセルなし全額返金される場合が多い
手付金を支払った後のキャンセル一部発生手付金を放棄する場合あり
売主が他の買主を断った後にキャンセルなし売主との信頼関係が損なわれる

例えば、売主が他の買主を断った後にキャンセルすると、売主から「他の買主に売る機会を失った」としてクレームを受ける可能性があります。

そのため、キャンセルの可能性がある場合は、なるべく早めに売主に伝え、誠意を持って対応することが大切です。

不動産購入申込書のキャンセル時には、違約金の有無や申込金の返金ルールを事前に確認することが重要です。特に、売主との信頼関係を損なわないよう、早めに適切な対応を取ることが望ましいです。

5. 不動産購入申込書を提出する際の注意点とトラブル回避策

不動産購入申込書を提出する際には、さまざまな注意点があります。購入申込書の内容次第で売主との交渉がスムーズに進むこともあれば、トラブルに発展することもあります。特に、申し込み時の条件設定や申込金の取り扱いについては、事前にしっかり確認しておくことが重要です。本章では、不動産購入申込書を提出する際の具体的な注意点や、トラブルを回避するためのポイントについて詳しく解説します。

5-1. 提出前に確認すべきポイント

不動産購入申込書を提出する前に、売買条件や支払い方法、住宅ローンの状況をしっかり確認しておくことが重要です。安易な申し込みはトラブルの原因になりかねません。

購入申込書を提出すると、売主は「この人が本当に購入する意志がある」と判断し、契約に向けた準備を進めます。そのため、申し込み後に条件を変更したり、撤回したりすると、売主との関係が悪化し、交渉が難しくなる可能性があります。

また、住宅ローンを利用する場合、審査が通らないと契約を進めることができません。申し込み時に住宅ローンの事前審査を終えていないと、結果的に契約が成立せず、売主に迷惑をかけることになります。

以下のような点を事前に確認しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

確認項目重要ポイント注意点
購入価格希望価格を明確にする無理な値引き交渉は避ける
支払い方法頭金の額やローン借入額を決める住宅ローン審査の進捗を確認
契約締結日売主と調整したうえで設定直前の変更は避ける
手付金の額5%〜10%が一般的契約解除時のリスクを確認
申し込みの有効期限通常1週間〜10日程度期限切れにならないよう注意

例えば、3,000万円のマンションを購入する際、2,800万円で値引き交渉を行うとします。この場合、売主が応じてくれるかどうかを確認し、事前に仲介業者と相談することで、無理のない条件で申し込みができます。

不動産購入申込書を提出する前に、売買条件や支払い方法、住宅ローンの審査状況をしっかり確認しましょう。事前の準備を怠ると、売主との交渉が難しくなったり、契約がスムーズに進まなかったりする可能性があります。

5-2. 購入申込金の返金トラブルを防ぐには?

購入申込金を支払う際には、「返金の可否」や「返金条件」を事前に確認することが重要です。契約前であれば基本的に返金されますが、場合によってはトラブルに発展することもあります。

購入申込金とは、買主が「この物件を購入したい」という意思を示すために支払う金銭であり、通常は売買契約が成立しなかった場合に返金されます。しかし、契約後にキャンセルすると、手付金と同じ扱いになり、返金されないことがあります。

また、一部の不動産会社では、申込金の返金に関してトラブルが発生するケースもあります。

契約が成立しなかったにも関わらず「申込金は返せない」と言われることもあるため、事前に返金条件を明確にしておくことが重要です。

以下のようなケースでは、申込金の返金トラブルが発生する可能性があります。

状況返金の可否注意点
契約前にキャンセル返金される返金のルールを確認
売主の都合で契約が不成立返金される速やかに申し入れる
買主の都合で契約後にキャンセル返金不可手付金の扱いになる

例えば、申込金10万円を支払った後、住宅ローンの本審査が通らず契約をキャンセルした場合、本来は申込金が返金されるのが一般的です。

しかし、仲介業者によっては「事務手数料として一部差し引かれる」といったケースもあります。

トラブルを防ぐためのポイント

  • 申込金の返金ルールを契約前に確認する
  • 領収書を必ず受け取り、契約書の控えを保管する
  • 仲介業者に事前に返金の流れを確認する

購入申込金の返金トラブルを防ぐためには、支払い前に契約内容を確認し、書面で取り決めを行うことが大切です。申込金の扱いについて仲介業者や売主としっかり話し合い、トラブルを未然に防ぎましょう。

6. まとめ|不動産購入申込書を正しく活用し、スムーズな契約につなげよう

不動産購入申込書は、売主に対して購入の意思を伝え、契約へと進めるための重要な書類です。

しかし、提出のタイミングや内容によっては、交渉がスムーズに進まなかったり、トラブルに発展したりする可能性もあります。

そのため、事前の準備をしっかりと行い、適切に対応することが大切です。本章では、本記事のポイントを振り返りながら、スムーズな不動産購入を実現するためのポイントをまとめます。

6-1. 不動産購入申込書のポイントをおさらい

不動産購入申込書は法的拘束力がないものの、売主との信頼関係を築き、交渉を有利に進めるために非常に重要な書類です。提出前にしっかり準備し、内容を慎重に記入することが大切です。

本記事では、不動産購入申込書の役割や提出の流れ、記入時の注意点などについて解説しました。改めてポイントを整理すると、以下の点が重要になります。

項目ポイント注意点
不動産購入申込書とは?物件購入の意思を伝える書類法的拘束力はない
提出のタイミング住宅ローン事前審査通過後が理想早すぎる提出はリスクもある
記入内容価格・手付金・契約日など明確に曖昧な条件は避ける
法的効力売買契約前ならキャンセル可能信頼関係を損なわないよう注意
トラブル回避策申込金の返金ルールを確認書面での取り決めが重要

例えば、ある購入希望者が希望価格で申込書を提出したものの、売主側の意向と合わず契約が成立しなかったとします。このようなケースでも、記入内容が明確で交渉がスムーズだった場合、別の物件を紹介してもらえる可能性が高まります。

不動産購入申込書を適切に活用することで、売主との信頼関係を築きながら、希望する条件での契約を進めることができます。

記入内容や提出タイミングを慎重に判断し、スムーズな契約へとつなげましょう。

6-2. 失敗しない不動産購入申込書の提出方法

不動産購入申込書を提出する際は、事前の情報収集と計画的な準備が必要です。特に、契約条件や住宅ローンの状況を整理したうえで申し込むことが、成功への鍵となります。

不動産購入申込書の提出は、「この物件を購入する意思がある」という強いアピールになります。

しかし、準備不足のまま申し込むと、契約条件の見直しやキャンセルが発生し、売主との信頼関係を損なうリスクがあります。

また、売主が複数の購入希望者の中から最適な買主を選ぶ場合、申し込みの内容が交渉の成否を左右します。

失敗しないための準備チェックリスト

市場価格を把握する:購入希望価格が妥当か調査
住宅ローンの事前審査を通過しておく:ローン審査が通らなければ契約は進まない
契約条件を明確にする:支払い方法・契約日・引き渡し日を具体的に設定
仲介業者と相談する:交渉のポイントやリスクを事前に確認

例えば、希望する物件が競争率の高いエリアにある場合、申込書を提出する前に売主の希望条件を確認し、可能な範囲で調整することで契約の成功率を高めることができます。

不動産購入申込書を提出する際は、事前に十分な準備を行い、売主との交渉を有利に進められるようにしましょう。市場調査や住宅ローンの確認を怠らず、スムーズな契約につなげることが大切です。

不動産購入にかかる諸費用などについて解説した記事がこちらです。このタイミングで一度お読みいただければと思います。

関連記事:不動産購入時にかかる諸費用の全貌と節約のコツを徹底解説

6-3. トラブルを避けるために意識すべきこと

不動産購入申込書を提出する際は、売主や不動産会社とのトラブルを避けるために、契約条件の確認や書面での記録を徹底することが重要です。

不動産取引では、契約条件の不一致や申込金の返金トラブルなど、さまざまな問題が発生することがあります。特に、口頭での約束だけに頼ると、後々「そんな話は聞いていない」といったトラブルになりかねません。

そのため、申込書の内容を詳細に記載し、契約に関するやり取りを必ず書面に残すことが大切です。

注意点具体的な対策
契約条件の曖昧な記載を避ける価格・手付金・引渡し日などを明確にする
申込金の取り扱いを事前確認返金ルールを契約書で確認
仲介業者を通じて確認する直接交渉ではなく、プロの意見を活用

例えば、ある買主が「契約が成立しなかった場合は申込金を返金してもらえる」と思っていたが、売主側は「契約を進めなかった場合は申込金は返さない」と認識していたとします。このような食い違いを防ぐためには、契約前に明確な書面での取り決めを行うことが重要です。

不動産購入申込書を提出する際は、契約条件を明確にし、すべてのやり取りを記録することでトラブルを防ぐことができます。売主や不動産会社としっかりコミュニケーションを取り、スムーズな取引を目指しましょう。

6-4. まとめ|不動産購入申込書を正しく活用し、理想の物件を手に入れよう

不動産購入申込書は、単なる意思表示の書類ではなく、売主との交渉を有利に進め、契約をスムーズに進めるための重要なツールです。提出前に市場価格や契約条件を確認し、慎重に記入することで、理想の物件を手に入れる確率が高まります。

しっかりと準備を行い、売主との信頼関係を築きながら、納得のいく不動産取引を実現しましょう。

有限会社ひかり不動産は、埼玉県美里町を中心に本庄市や児玉郡内の不動産の取り扱いと住宅建築を手掛ける創業50余年の地域密着企業です。土地や空家の買取りもお任せください。

住宅建築では、自然素材をふんだんに使用した注文住宅やリフォームを手掛けています。

投稿者プロフィール

齊藤 起久康
齊藤 起久康
有限会社ひかり不動産 代表取締役
宅地建物取引士 二級建築士

埼玉県美里町に生まれ育ち
1987年~1990年:住宅建築・不動産会社勤務
1990年~:有限会社ひかり不動産
2000年~現在:有限会社ひかり不動産 代表取締役

不動産・住宅建築業界一筋で業界歴35年超のベテラン
長年の経験と今まで培ってきた事 そして、こだわりのある
「自然素材の家づくり」について皆様にお伝えします